私たちの理念

倉橋惣三協会は、「育ての心」に基づいた教育・福祉のあり方を時代に先駆けて世に問うた倉橋惣三の思想および実践に関する研究を促進し、その成果を教育・保育関係者の相互交流と人材育成に活かしつつ、保護者をはじめとする社会全体に普及させることを通して、未来を担う子どもを育成する環境の実現に寄与することを目的と致します。


代表あいさつ

代表理事 倉橋和雄

『子どもは心もちに生きている。その心もちを汲んでくれる人、その心もちに触れてくれる人だけが、子どもにとって、ありがたい人、うれしい人である』

 

私の祖父―倉橋惣三は幼かった私にとっても、まさに私の心もちを汲んでくれる“ありがたい人”でした。

 

心もちとは気持ちのこと。いや、気持ちのもっと深いところにある思いかもしれません。言いたくても口に出せない時、言いたいのに伝え方が分からない時、そもそも自分がどんな思いでいるのか分からない時、近くにいる大人がそれを汲んでくれたり、触ってくれたりすると、どんなに嬉しいことでしょう。

私が祖父のことが大好きだったのも、今から思うと、祖父がそうして私の気持ちを汲んでくれていたからかもしれません。

 

保育の仕事とは何の関係もなかった私が、今回理事になってくださった皆様の、保育に対する熱い思いに打たれて立ち上げた倉橋惣三協会。これを機に、祖父が遺したものを今一度読み返してみました。祖父自身の著作は元より全集、様々な方による倉橋惣三論、また我が家に保管されていた日記やメモ帳、手紙等。

 

それらに目を通していくと、様々な祖父の姿が見えてきました。人見知りで運動神経が鈍く、いじめられっ子だった子ども時代の祖父、幼児教育に一途に突き進んだ祖父、そして家庭を持ってからは家族を愛してやまなかった祖父……。しかしどんな祖父であっても、一番確かだったのは、ひたむきなまでに子どもを愛する祖父の姿でした。

 

今、子ども達を取り囲む環境は、コロナ禍の中、さらに悪化しています。社会の闇はどうしても弱き者に向けられてしまう。幼児虐待をはじめとする問題は後を絶たず、どう子どもを育てたら良いのか、親も疲弊してしまっています。一口に子どもを愛するといっても、愛とは何なのか考えてしまいます。しかし、祖父が子ども達に向けた眼差しがあれば、そして何故その眼差しが可能なのかを、倉橋惣三を通して多くの方に知っていただきたい。その思いは日々強くなってきます。

 

子ども達は、この日本の、世界の、地球の未来です。

 

その未来が輝くものになるように願ってやみません。

 

代表理事   倉橋 和雄  

 

  


副代表理事あいさつ

副代表理事 浜口順子

お茶の水女子大学附属幼稚園にはいると、倉橋惣三がまだどこかで見守っているような感じがする。

 

関東大震災でお茶の水・湯島の園舎が全壊した後、今の大塚の地へ移した藤の株は、春になると薄紫の花房を付けて棚を飾る。様々な種類の樹々、細かい砂利質の土の庭、4つもある砂場。丘(お山)と下の園庭をつなぐ数本の通路。玄関の先には幅の広い廊下が伸び、そこでも子どもたちはゴザを敷いたり椅子を並べたりして遊んでいる。

園長室に掛かっているフレーベルの肖像画は、大正時代に倉橋がドイツの生地を訪れたときに入手したものだ。

 

しかし倉橋の存在をもっとも感じさせるのは、子どもたちと保育者の過ごす姿だろう。

朝登園すると子どもたちは自然と自分のペースで生活を始める。昨日の続きをしようとまっしぐらに目的に向かって走っていく子ども、他の子の遊びをただじっと見ている子どももいる。何かを作りたいけれどどうしたらいいかわからない子どもがいると、保育者はまず様子を見守り、辛抱強く話を聞き、一緒に材料を探しまわりもし、その子が自分から作り始めるのを待つ。

自発性。倉橋がおそらくもっとも大切に育てたいと考えたものだと思う。

 

倉橋惣三協会を縁として、子どもや保育のことをいろいろな人と語り合ったり考え合ったりする場が広がればうれしい。

 

 

  副代表理事 浜口順子 

(お茶の水女子大学 教授     

お茶の水女子大学こども園 園長)

浜口順子研究室(児童学・保育学)ホームページ

 


副代表理事 宮里暁美

子ども・親・保育者・私

~倉橋惣三先生から学び続けていること~

 

 

大学で幼児教育を学び『育ての心』と出会った。ページを開けば鉛筆で書き込みをした跡がある。あの時の私は、いったい何を理解していたのだろうか。

 

大学卒業後、保育者となった私は、子どもたちや保護者、同僚との出会いに恵まれ多くの喜びを得る。と同時に、自分の保育については、悩みや迷いの日々を送ることになる。

壁を乗り越えるために、様々な本を読んだり、講習会や公開保育に参加したりしてみる。しかし焦った気持ちで行動しても、事態はなかなか改善しない。そのようなときに、私は『育ての心』と再会した。

 

「かすかにして短き心もちを見落とさない人だけが、子どもと俱にいる人である」(「こころもち」より)という文章に目が留まる。

 

気づくと涙がこぼれていた。気になる行為にばかり目がとまり、制止する動きが多かった自分を反省する。子どもの顔が険しかったのは自分の顔が険しかったからだと気づく。「その子の今の心もちにのみ、今のその子がある」という言葉をかみしめる。子どもから始めよう、子どものことを分かりたいという気持ちを胸に抱いて歩もう、そう心に誓った。

 

そして年月が過ぎ、今もなお私は子どものそばにいる。倉橋惣三先生が指し示している方へとまなざしを向けながら、子どもたちや親たち、保育者たちとともに、学び合いたいと願っている。

 

 

 副代表理事 宮里暁美 

(お茶の水女子大学お茶大アカデミック・プロダクション 寄附講座教授 

 文京区立お茶の水女子大学こども園 運営・保育アドバイザー)

 

 


副代表理事 久保健太

「自ら育つものを育たせようとする心。それが育ての心である。

世にこんな楽しい心があろうか。

それは明るい世界である。温かい世界である。育つものと育てるものとが、互いの結びつきに於て相楽しんでいる心である。(略) 

それにしても、育ての心は相手を育てるばかりではない。それによって自分も育てられてゆくのである。

我が子を育てて自ら育つ親、子等の心を育てて自らの心も育つ教育者。

育ての心は子どものためばかりではない。親と教育者とを育てる心である。」

(倉橋惣三『育ての心』序より)

 

 

「育ての心」を向ける相手を、子どもから、人間全体に広げたいと思っています。

私は、私の仕事を通じて、多くの方と、互いの育ちを楽しみ合っています。
そうした仕事の中で、「育ての心」をもって、育児にあたっている保護者の方に多く出会ってきました。

また、「育ての心」をもって、仕事に当たっている事業者の方にも出会ってきました。直接に、保育の仕事に携わっているわけではありませんが、「育ての心」をもって生きている方はたくさんいらっしゃいます。

そういった方々と力を合わせて、日本の社会に「相楽しんでいる心」を拡げたい。

そう願って、協会の設立に参画しました。
協会の活動を通じて、多くの方と出会っていきたいと思っています。

 

 

副代表理事 久保 健太 

(大妻女子大学 家政学部 児童学科 専任講師)

 

 


 

一般社団法人 倉橋惣三協会

 

所在地 : 東京都文京区小石川5丁目 6-9-1007

連絡先 : お問い合わせフォーム  または下記メールアドレスよりご連絡ください。

info@sozo-kurahashi.or.jp

 

代表理事  倉橋和雄

副代表理事 浜口順子 お茶の水女子大学 教授

副代表理事 宮里暁美 お茶の水女子大学お茶大アカデミック・プロダクション 寄附講座教授

副代表理事 久保健太 大妻女子大学 専任講師

専務理事  熱海正宏 (株)フォーハンズ 代表取締役

専務理事  池永憲彦 リモンライフ(株) 代表取締役

理  事  倉橋麻生 (株)グッドバンカー 取締役

監  事  阿部祐美子 東京都議会議員